四杯目、食事処じいじ亭にて

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第四回目の対談食堂のお相手は、コトブキ町のんみゃもの屋、じいじ亭の店主小川晴資(おがわ・せいし)さんです。実は私塩辛なな子は、入社前の面接帰りにじいじ亭に立ち寄ってからというもの、小川さんの作るランチの一ファンなので、いつもよりお腹をすかせて対談しました!じいじ亭のはじまりやメニューに対する思い入れ、小川さんにとって働くとはどういうことか?そしてなんと!塩辛対談にちなんで塩辛レシピを教えていただきました。今回も内容大盛りです。それではどうぞ召し上がれ!

 

 

塩辛なな子(以下/塩):今日はよろしくお願いします。まだまだ横手はビギナーですが、じいじ亭のごはんは入社する前から食べているのでなんだか不思議な感じです。

小川晴資さん(以下/小):よろしくお願いします。そうかそうか。覚えてる。

塩:1回目に寄った時は(じいじ亭が)定休日で。

小:じゃあうちに来たのは2回目だったんだ。

塩:そうです。オムライスが食べたくて入ったあの日が最初のじいじ亭でした。

小:オムライスとハンバーグは特に人気だからね。

塩:いつ食べても美味しいです。あとお店の名前にも惹かれてのれんをくぐったというのもあります。どうして「じいじ亭」という名前なのですか?

小:前の会社を撤収するにあたって、いろいろなひとに「別店を(名前で)わかるようにする!」と言ったけど、倅とカミさんが大反対。「じゃあ、君らが付けろ!」と言って付いた名前がじいじ亭。

塩:お孫さんに呼ばれているからですか?

小:そうそう。じいじです。

塩:そういう経緯があったんですね。素敵な名前のお店ですね。一回聞いたら忘れられないです。

小:そう言ってもらえると嬉しい。うちの店はハンバーグが一番、オムライスが二番目に売れているけど、「焼肉の●●」みたいに看板に書いちゃったら縛られて、カラフルなメニューが作れなくなるじゃない。

塩:いろいろありますよね。じいじ亭でなきゃ食べられないようなメニュー。

小:他店との違いを求めてるから。例えばじいじ亭のホルモン焼きそば。これは自作のステーキソースで味付けしてる。いわゆる「焼きそば」のソースじゃなくて、醤油系。

塩:醤油系!

小:それも、玉ねぎと大根半々くらいのおろし醤油で味付けしてる。ホルモン焼きそばを食べたお客さんに「アラッ!?」と驚かせたくて。

塩:美味しさだけでなく、ドキッとするアレンジも含まれているんですね!

 

名前と味で驚かせるメニューづくり

 

※この週替わりランチの画像は3月19日〜3月23日までのメニューです。

 

塩:そういえば、週替わりランチってどうやって決めてるんですか?

小:う~ん。木か金あたりに、「次週のランチどうしようかな~」と考えだす。

塩:私もこれまで色々なランチを食べてきましたが、ほんとうに様々なランチメニューがありますよね。

小:そう。悩んだ時は、過去のメニューを参考にしたりはする。メモがあるけど見る?

塩:えっ!!!!!??そういうのって秘密のノートなんじゃないんですか!?

小:別に何も隠すことはないから。どんなことも答えるよ。

 

 

塩:これがじいじの秘伝のノート・・・!

小:いやいや何も。俺はこれまで、行く先々(働く場所)で別モノを作ろうと頑張って来た。

塩:いろいろなレシピ作りを工夫するってことですか?

小:そう。サラダドレッシングもそう。このメモを元に、次のアレンジしたものを作ってる。あなたが面接帰りに食べたボロネーゼオムライスのボロネーゼだって同じ。「今回はこのレシピを使ったけど、次は別のレシピにしようかな~」なんて考えたりしてる。元あるレシピをアレンジすることももちろんあるんだけど、イチから作ろうとするんだよね(笑)

塩:祖母の料理メモでさえも、こんなにまじまじとみたことがないのに・・・。小川さんって本当にオープンな方ですね。それにしてもたくさんのメモが。

小:これは自分のメモだけでなく、お客さんの意見とかもある。例えば、ランチの時に「スープカレーおいしいよね。」との一言からヒントを得て、それを元に自分流にやってみたりして(笑)

塩:結果、小川さんの自己流にしちゃうのが楽しいですね。週替わりランチの名前も小川さんが考えるんですか?

小:そう。(ページをめくりながら)この週は「なんじゃらほいリゾット」とか。

塩:あっ。食べました、なんじゃらほいリゾット。本当に、ふたを開ける瞬間まで「なんじゃろな!?」ってワクワクでした。

小:そういう風に、お客さんに「これって何!?」と言わせながら作るのが楽しい。麻婆豆腐って結構好きなお客さんがいるから、そこから「麻婆豆腐カレー」とか「鍋焼き麻婆」という風に作ったりする。

塩:なんだか連想ゲームみたいで楽しいです。

小:常時食べられるようなメニューをランチにするよりは、その時々でしか食べられないようなものを作ってる。どうせやるなら、その方が楽しいじゃない。そんな感じでやってます!

 

目指すは「美味しい」が連鎖する店

 

 

塩:どんなお店でありたいですか?

小:『仕事は遊べ。遊びは真面目に』とはよく言います。

塩:なんだか肩が軽くなるような言葉です。

小:仕事の時は遊ばないと。そうでないと、発想も豊かじゃなくなるし、固まった仕事になりそう。

塩:小川さんの自由な発想によって作り出されるメニューは、毎週ワクワクします。料理人を50年続けて来た腕前だからこそのアレンジと味付けなのですね。

小:来たお客さんにとっても、働く自分にとっても楽しいお店でありたいと思う。美味しいか不味いかは二の次かな?

塩:きっとその楽しいって、なんとなくお店に入る前からわかる気がします。そして、食べ終わった後にお店から出た後も、そんな気分でいられる。

小:そう。そしてこうも思ってる。「ゆくゆくは自分の料理がここら辺に普及すればいいな。」と。

塩:普及?

小:例えばお母さん同士の会話とかで、「あら~おめもこれこひゃでら(あなたもこれを作ってるの)!」「んだんだ(そうそう)、じいじ亭から習ってヨ~」みたいな感じに。

塩:人から人へ、「美味しい」の連鎖みたいになったら素敵ですね!

小:そうそう。でも、時代も変われば人の好みも変わるわけで。そういう変化を意識していかないとなあって思う。

塩:変化といえばなのですが、実はじいじ亭の麻婆茄子でナス嫌いを克服しました。

小:えっ本当。

塩:それまでも何度かランチを食べに来て、どれも美味しい味付けなので、「ナス、イケるかも!?」と思って食べたらやっぱり大丈夫でした!(笑)

小:それは嬉しい!実は俺も昔、塩辛が大嫌いだった。

塩:ええっ!(私、このコーナー「塩辛なな子の対談食堂」でやってるんだけどな・・・(笑))

小:あんなクサイものたべれるか!って感じだったんだけど。でも、昔住み込みで働いていた時に一緒に働いている人からもらった塩辛が美味しくて。それ以降はしょっぱかろうが臭かろうがなんでも食べられるようになった。

塩:私は小さいころから塩辛が好きだったのでその気持ちはわかりませんが、苦手な人はいますよね。いつか自分でも塩辛が作れたらいいなあと思うんですけど・・・。

小:じゃあここで塩辛講習する?うちで作ってみて。

塩:いいんですか!?

小:すぐ作れるさ。まずイカを・・・

塩:ちょっと待ってください!(笑)メモします!

 

メモがこちらになります。

 

 

小:これらを混ぜたら出来上がり!

塩:作ってみます!!!

 

 

 

いかがでしたか?

対談している最中、進学を機に秋田を離れる学生の方が挨拶に来たりと、壁の張り紙どおりの「街に愛される洋食屋さん」だということを感じました。じいじ亭では昼のランチをTwitterで告知しています。楽しい文面と、見ただけで匂いがただよってくるような写真付きのツイートを、ぜひチェックしてみてください→https://twitter.com/jiijitei_yokote

また、じいじ亭は夜も営業しています。一人でしっぽりと、または気の知れた仲間と。おつまみはおまかせで、とオーダーすると、小川さんが腕によりをかけたとっておきのおつまみを出してくれます。常連のお客さんはもちろん、通りすがりのお客さんもよくのれんをくぐるそうです。

新しいこと、楽しいこと好きな小川さん。もし今後、何か楽しいこと、新しいメニューを思いついたら教えてください!日頃美味しいご飯を作ってもらっているぶん、美味しそうなデザインで告知させていただきますので、よろしくお願いします♪

 

 

今回の対談場所

店名:食事処 じいじ亭

住所:〒013-0025 秋田県横手市寿町9-4

電話:090-4883-3921

営業時間:昼の部/11:00-14:00 夜の部/17:00-21:00

定休日:日曜日

 

 

さて、ここで皆様にお知らせがございます。

塩辛なな子の対談食堂は・・・今回をもちまして終業とさせていただきます。

今回のじいじ亭の亭主小川さんをはじめ、小松屋本店の小松さん、旅館平利の平田さんには感謝の気持ちでいっぱいです。普段の生活ではなかなか味わうことのできない、おいしいお話を聞くことができました。

とはいえ塩辛なな子はいつもお腹をすかせています。ある日は定食屋のカウンターでお茶をすすりながら、常連客の話し声に耳を傾けたり。またある日は、最近話題のおしゃれスイーツの写真をインスタに投稿しちゃったり。またいつか、違うかたちで皆様にお会いできたらいいなと思います。それでは、また会う日まで!

 

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