人間に備わる能力である、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚。
いわゆる五感と言われる感覚ですね。
人間はその五感を使って外部から様々な情報を得て生活しています。
そして、その五感の中でもインプットされる情報量の比率が最も高いものが『視覚』だと言われていますね。
外部情報の80~90%は視覚から得ている、という研究結果が複数存在しています。
無意識であっても、『見る』ことで、人間は何かしらを感じ取っています。
例えば、【写真】について。
今回の『今すぐ使えるデザインテクニック』では、紙面のデザインにおける写真の選び方・レイアウトについて、知れば納得の基本テクニックをご紹介したいと思います。
ずばり、紙面の中に掲載する写真を選ぶことは、読み手(ユーザー)に何を伝えたいか、そのメッセージを選ぶことに等しいと言えます!
伝えたいことが読み手に伝わるように、適した写真を選ぶことが効果あるデザイン制作のポイントです。
とりわけ、写真の役目は、大きく分けてこの2つに分かれます。
1、読み手の情緒に訴えるための写真
2、読み手に事実を説明するための写真
百聞は一見に如かず。
これから実例を見てみましょう。
まず、次の写真をご覧ください。
どちらの写真にもピザが写っていますね。
【ピザが写った写真】という事実がそこにあります。
上記2枚の写真なら、個人的には1枚目の写真の方が魅力的で好きですね~。
でも、担当者の好みで写真を選ぶべからず!
「読み手に何を伝えるか」で写真を選ぶ、これがポイントとなります!
掲載する写真の選び方としては次のようになります。
テクニック1 写真を載せる目的は2種類あることを知る!
目的その1 「〇〇な気持ちになってほしい!」
使用例:
マガジンの1コーナー『ホームパーティレシピ』ページに掲載する写真として
写真に込めたメッセージ:
家にいながら、いつもよりもちょっとリッチで楽しい気分を味わえるホームパーティをしてみませんか?そのメニューを提案します
写真の役目:
楽しい気分を想像してもらう
目的その2 「事実を誤解なく伝えたい!」
使用例:
本格石窯ピザを提供する店舗のメニュー写真として
写真に込めたメッセージ:
当店のマルゲリータはこのようなピザです
写真の役目:
具材、具の量、生地など誤解のないよう説明する
ざっくりまとめると、
・情緒に訴えることを狙うなら、演出のある写真
・事実を正確に伝えたいなら、演出のない写真
といったところでしょうか?
テクニック2 伝えたい内容に応じて、主役となる写真を選ぶべし!
またまた食べ物の写真です。
この3枚の写真を見ると、レストランの写真であることは一目瞭然。
ただし、この紙面はレストランの何について伝えたい内容なのか、文章を読んでみるまではわかりません。
ですが、次のように写真の大きさに優劣をつけるといかがでしょうか?
メッセージ:有名なシェフを紹介したい
メッセージ:一押しのメニューを紹介したい
メッセージ:雰囲気のいいおしゃれな店内であることをアピールしたい
ただ写真の大きさに優劣を加えるだけで、文章を読まずとも、内容が予測できてしまいますね。
読み手は何について紹介しているページなのか、紙面の中の文字を読んで理解するよりも早く、写真のメッセージを何かしら感じ取り、そこに興味があるかないかを一瞬にして脳内判断します。
テクニック3 主観とさせるか、客観とさせるか、レイアウトで狙ってみる
同じ写真であっても、次のような配置方法で読み手が写真から受ける印象を操作することができます。
配置方法:余白のない「断ち落とし」によるレイアウト
狙う効果:臨場感、その場にいるような感覚、主観的、その世界に入り込む
配置方法:余白のあるレイアウト
狙う効果:説明的、客観的、俯瞰的、観察、冷静に見る
配置方法:余白のない「断ち落とし」によるレイアウト
狙う効果:情緒的、景色に入り込む、体験しているような感覚
配置方法:余白のあるレイアウト
狙う効果:作品集、鑑賞、比較
写真をどのようにレイアウトするか。
それは【読み手にどう感じてほしいか、どう理解してほしいか】という点にポイントを抑えると、案外迷うことは少なくなります。
ぜひお試しください。