一貫性を持っている人は魅力的! それ、デザインも同じです。

 

こんにちは。
インスタで「#金足農業」と検索することが気付けば日課となっているグラフィックデザイナーの朝子です。

そんな私情は置いておきまして…

 

 

 

皆さんは「トンマナ」という言葉をご存知でしょうか?

 

グラフィックデザインにおいて、商材の持つ世界観や、ユーザーに与える印象を統一させるために、その商材を取り巻くヴィジュアルに一貫したルールを設ける手法があります。

それを「トーン&マナー」と言い、「トンマナ」と称されて呼ばれています。
手法というよりも、グラフィックデザインの原則・常識と扱ったほうがいいかもしれません。

これはデザイナーだけではなく、外部にデザイン制作を依頼をされる方、デザインの仕事に直接関わることのない一般の方にも、ぜひ知っておいていただきたいことです。

 

まずは次のエピソードにお付き合いください。

 

 

エピソード1 愛と憎しみは表裏一体?

 

奥ゆかしく清楚なアイドル。
彼女はファンにときめきと夢を与えてくれます。

しかし、そんな彼女が清楚とは真逆な素行をスクープされてしまったのです。

デビュー当時から熱烈なファンだったAさん。
そのスクープを見て裏切れた気持ちになりました。
これまでこのアイドルにつぎ込んできた金額を突然計算しだし、怒りをあらわにします。
まさに愛憎の世界。

これまでこのアイドルが確立していたイメージとそのポジションはたちまち崩れ、他にも離れるファンが続出することでしょう。

 

 

エピソード2 ぐわしっ!自由の許容はどこまで計れる?

 

緑に囲まれた閑静な高級住宅街。
そこに紅白のボーダー柄の外壁を持つ、超ド派手な家を建てはじめたベテラン漫画家がおりました。
近隣住民は、地域の景観が悪くなるとその漫画家に対して裁判を起こしました。

 

これは数年前にワイドショーなどで取り上げられた実話です。
知っている方はピンときましたよね?
その漫画家とは楳○かず○さんのことです。

数人の近隣住民は楳○さんの家を、この住宅地にはそぐわないとして排除しようとしました。

裁判は楳○さんの方が勝利。このような家を建ててはいけないという決まりはなかったわけで、当然の結果かもしれません。

 

ただ、「どんな家を建てようが本人の自由だ!」と思う方もいれば、「いやさすがにこの家はないわ…」と思う方もいらっしゃったのではないでしょうか?

他人事ではなく、もしもご自分の家の隣に超ド派手な家が建てられたら、どう思いますか?

 

 

ルールはなくとも、人々の想いは膨らむ

 

規定化されたわけでもないのに、そこには人々によってやんわりと共有された「イメージ」が発生し、世界観が生まれていました。
その形成は止められるものではありません。

 

このアイドルは清楚系だ。
ここは高級住宅街であり平穏が守られている。

 

その「イメージ」が崩れる時、そこにはわだかまりが発生し、肯定的だった印象にマイナスの印象が与えられていきます。

 

 

 

 

トンマナ=ユーザーに与える印象に一貫性を設けること

 

普段みなさんも、とある企業やそのブランドの広告、WEBサイトなどを多々目にしていることと思います。

ブランドの多くは、使用するグラフィックにルールを設けています。
それが「トンマナ」で、デザインに一貫性を持たせるための内部のグラフィックルールです。

「トンマナ」を設定してそれを守ることで、ユーザーに同じブランドのものだと認識してもらい、かつそのブランドの持つ世界観をも印象づけることもできるのです。

 

「この腕時計は高額です。だけど品質には自信があります。この腕時計を身につけることは、プライドを身につけること。あなたの仕事へのモチベーション、パフォーマンスをより向上させることができます。」

 

例えば、高級腕時計のパンフレットは決して上記のような言葉を直接使ったりしません。
ただ、そのパンフレットに使われているグラフィックから、読み手がそう無意識に感じ取っているのです。そこに「印象」が生まれているのです。

 

あなたが好きなブランドを思い出してください。
そしてそのWEBサイトをなんとなくでもイメージしてみてください。

容易にイメージできてしまいますよね?
すでにそのブランドの持つ世界観を知っているためです。
そのブランドが自身の「トンマナ」を守りぬいてきたためになせる業です。

 

「トンマナ」は何も高級なものにだけ使われているのではありません。

 

ディスカウントショップ『ドン・キ○ーテ』。
秋田県内にも数店舗ありますね。

派手な看板。商品が積み上げられ、こぼれ落ちてしまいそうな陳列。手書きのPOP。

掘り出し物に出会えるようなこの探索感。ワクワク感。
「今日はお得なものいろいろ見つけて買ったるで~」という気持ちに自然となりますよね。
目当てのものがあって買いに行くというよりも、買うものを探しに行くというこの不思議行動。

 

これも計算された演出の効果です。
「トンマナ」を守ることでなせる業なのです。

 

さて、この「トンマナ」を守らずに、高級なものに対して、真逆となるチープなイメージを混入したり、はたまた、賑やかワイワイなお店の中に、近寄りがたいようなお堅い空間が現れたらいかがでしょう。

たちまち、その世界観は壊れてしまい、ファンやユーザーは違和感を覚え、購買意欲は薄れていきます。

 

これをアピールしたいからとにかく目立つように、と周囲に及ぼす影響を配慮しないことはNGです。デザインはその場その場のノリで作るものではありません。

その商材のポジション、ユーザーが思い描いているユーザー自身と商材の関わり、商材の持つ役割を壊す行為はやめましょう。

 

 

 

「トンマナ」を破いてしまう よくあるNGパターン

 

実際トンマナは具体的に画像を用いて、関係者同士が共有資料とするものですが、トンマナを破るよくあるNGパターンを紹介したいと思います。

 

 

 

NGパターン1 とにかく目立つように、これまで使用していない色を使おう!

 

「部分的に目立つように、紙面の他の箇所に使用していない色をここに使おう。」

パステルカラーの中に、原色の赤を入れてしまう…あるあるなNG例です。

局所のみで判断するのはなく、全体との配色バランスを考慮しましょう。
他の情報を控える、周りの空白を多めに設けて注目させたい情報に視線を集中させるなど、色を変える以外にも目立たせる方法はあります。

商材の世間におけるポジションを考慮し、これまで築き上げてきた印象を守る配色にしましょう。

 

 

 

NGパターン2 珍しい書体を使えば、おしゃれに見えるんじゃない?

 

書体には堅実な印象を与えるもの、やわらかい印象を与えるもの、楽しい印象を与えるものなどさまざまあります。
あれこれたくさんの書体を使うと本来伝えたいことが伝わりにくくなる上に、不安定な印象を与えかねません。

ユニークであり他と違うこと、それがおしゃれなのではありません。
書体選びは、読み手にどんな印象を与えたいか、どんな気持ちになってもらいたいかをベースに考えましょう。

また、行間や字間によっても与える印象は変化します。
勢いが欲しいのなら字間は狭く。ゆったりと優雅を狙うのであれば、行間や時間は広くなど。
ここもチェックポイントです。

 

 

NGパターン3 有り合わせの写真を使う

 

写真の質はとても重要です。
ヒトは視覚動物であると言われるように、まずはヴィジュアルから瞬時に興味があるかないかを判断します。
それだけ写真は心理効果が高いため、質の良いものを使用するようにしましょう。

また、写真には温度や表情があります。
やわらかい光の中で撮影した写真もあれば、光と影が明確なコントラストの高い写真もあったり、写真には様々な表情があります。その表情や温度がより近いものを使用すると効果増大です。
あれこれかき集めた写真よりも、同じカメラマンが同じ条件下で撮影した写真を揃えることがベストです。
もちろんその分費用は発生します。

 

私はグラフィックデザイナーとして、普段お客様より様々な原稿や写真をご提供いただきます。
その写真を確認した瞬間に、効果あるデザインに仕上がるか否か、半分は判断できてしまいます。

やはりプロが撮影した写真は素晴らしいです。
素材の質がデザインの質を決めるほど、素材である写真は重要な役割を果たします。

ぜひこの事実をお含みおきください。

 

 

いかがでしたでしょうか?

デザインはその場その場のノリで決めるものではありません。
設計が必要です。

 

自分たち売り手側の主張ではなく、自分達がお相手(お客様)に何を与えることができるのかを考えましょう。また築き上げたその印象、その世界を自分たちから崩す行為に気を付けましょう。

 

ヴィジュアルに一貫性を設ける「トンマナ」。
ぜひとも覚えておいてください。

 

 

 

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