このコーナーでは、これまでの採用フローを見直しながら、重要なポイントをできるだけ分かりやすくお伝えすることを目的にやってまいりましたが、昨今、採用ルールを巡って経団連の発表から刻々と状況が変化しているため、急遽採用ルールの変遷について、お伝えしていこうと思います。
まずは、現在の採用フローをご覧ください。
前回までご紹介した採用フローと比較しても何ら変わらない図式となっています。
企業が最終的な内定を出すまでに面接などを通して学生と会うのは大体4~5回程度となっています。学生によっては、1度しか会わない場合もあるでしょう。自社が求める資質に適合しているかどうかによって、その頻度が変わってきます。至極当然のことです。
では、就活ルール撤廃後の採用フローを見てみましょう。
いかがでしょうか?採用担当の方は、見ているだけで頭痛がしてきますね。
通年採用になったことで、これまでの採用フローは更に細分化され、学生と面談する機会もさらに増えています。人事担当・採用担当にとっては年がら年中学生のことを考え、面談のための資料作成・場所の確保・費用調達に翻弄する羽目になっています。
これまで一定のスパンの中で順調に回っていた、歯車が普遍的に回転することで担当者の労働時間も急速に拡大します。働き方改革などと言っている場合ではありません。
まして、このような採用フローを実現できるのは、採用のための資金が潤沢にある大企業のみではないでしょうか。
と、批判的な論調はここまでにして、実際どのような所に気をつければよいか見てましょう。
新しい採用フローで目玉となるのが
- 媒体戦略
- インターン戦略
- ターゲット戦略
です。
「媒体戦略」については、これまでも行ってきた通り、採用に特化した自社パンフレットなどです。合同説明会では欠かせないツールです。
「インターン戦略」はすでに取り組んでおられる企業も多いと思います。インターンシップの主な目的は、自社や自社の業務内容を知ってもらうことですが、新しいフローにおいては、4つの段階に分けて考えます。
①就活スタート時の興味の啓発
②就活を成功させたいという欲求の醸成
③業界について詳しく知りたいという初期の欲求
④企業をもっと知りたいというより深い欲求態度
企業はこれらの段階に応じて、又は、今学生がどの段階にいるかを正しく認識して対応する必要があります。
「ターゲット戦略」は、より自社が求める人材に適しているかを把握する上でも、学生の質をしっかりと見極めることがより重要になってきます。これまでのように採用フローに従って候補が絞られ状況に甘んじるのでは、自社に最適な人材を求められないかも知れない、ということです。母集団形成の始めの段階から、ターゲットを絞った採用活動を実施する必要がある、ということになります。